全国に過熱する起業ブーム。
その影に潜む相次ぐ企業の不祥事、そして起業数を上回る倒産……。 混沌とした世の中で、今、経営者たちは大切な何かを見失っているのだろうか。 システムが先行する現代社会に欠落したものとは何か。 起業し、企業を存続させる戦略的企業経営の本質とは何か。 こんな時代だからこそ、経営の王道に戻れ!―必ず奇跡は起こる。
私の職業は「能力開発コンサルタント」である。起業して今年で20年目を迎える。「能力開発コンサルタント」として、資本金500万円、社員3人でマンションオフィスから起業し、昨年売上10億円、経常利益2億円(自己資本率65%)、社員50名になった。 商売柄、借金する必要もそれほどないが、今のところ無借金経営を継続中である。
私の主宰する起業家養成の目標達成講座にはありがたいことに日本全国から起業家、ベンチャー経営者がたくさん訪れる。15年間で15,000人が講座を卒業した。これは事実である。
講座を通し、いろいろな経営者を見てきたが、うまくいく人には必ず共通項があるものである。
うまくいかない人にも当然共通項がある。
今回、私も起業20年を節目とし、宿願であった起業家として成功する絶対条件についてまとめてみた。社会に貢献する本物のアントレプレナーがこの日本に育ってほしい。それが私に本書を書かせた強い思いである。
本書は全体構想の第一部である。
第一部 理念・戦略編
第二部 戦術(方法論)編
第三部 戦法(オペレーション管理)編
本書に続いて第二部、第三部は年内に上梓する予定である。 3分冊を通読、熟読することで、起業家に求められる成功の原則、成功の条件が理解できる構成になっている。
企業経営には変わらないものと、変わってよいものがある。変わらないのは企業理念である。企業理念は起業家自身の“立ち位置”である。立ち位置をつくり上げてから、将来あるべき姿(ビジョン)を設定していく。 その後、ビジョンを具現化するための長期目標、中期目標、短期目標を定める。 そこから目標をどのように具体化するかというプラニング、そして、そのプラニングを日々実践するためのオペレーション管理をしていく。
これが、経営の要諦である。本書のシリーズは順を追って、経営の要諦のポイントを明らかにしていく。
今、社会は企業の不祥事が相次いでいるが、原理原則をはずした経営は必ず失敗する。会社をつくるのは簡単だが、継続するのは難しい。
5年で90%の会社がつぶれ、10年で残った会社のうち90%がつぶれる。 そう考えれば、私の会社が20年生き残ってきたのは奇跡かもしれない。まあ過去何度かはつぶれそうな状況にはなったが、生き残った。
なぜつぶれなかったのか。その答えは簡単である。
第一に、私には絶対会社をつぶさないという信念があった。
第二に、お客様と社員がこの会社を必要とし、支えてくれたからである。
つぶれる会社は経営者の信念の有無もさることながら、お客様にとっても社員にとってもそれほど必要な存在ではないともいえる。
結論は、働く人がこの会社で自己実現しようと真剣に考えることができない会社は伸びないということである。 同じようにお客様が満足しない会社は繁栄しないということである。
答えは至極簡単だが、その簡単なことがなぜ難しいのか。それはこれから本文で述べていく。
それでは絶対につぶれない「起業家のための社長学」の幕を開けたい。
本文【はじめに】より抜粋
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